ShakuScore 1.1x版がリリースされています。ハンドブック(1.1版用)も新しくなりました。
こちらを参照してください。
ShakuScore1.0版用(旧版です)
はじめに
楽譜の作成と保存
ページ設定
パート設定
レイアウト編集
他のファイル形式で出力(エクスポート)
表示関係
記号、テキストの移動、フォント変更、音符名の変更
その他
謝辞
機能概要
ShakuScoreは、五線譜から尺八譜を作成するソフトウェアです。
五線譜の標準データ形式(MusicXML)データ読み込んで尺八譜を自動的に生成します。
また、生成した楽譜に対して、縦書き・横書きの選択、音符のサイズ変更、小節の伸張・短縮など様々なレイアウト編集が行えます。
レイアウト編集を終えた楽譜はShakuScore形式、PDF形式、SVG形式の
ファイルにエクスポートできます。
五線譜のスコア作成には無料のMuseScoreが便利です。musescoreからShakuScoreを呼び出すプラグインも用意しています。
ShakuScoreでは楽譜のレイアウトの編集のみ可能であり、楽譜の内容そのものはMuseScoreなどの楽譜編集ソフトで行ってください。
楽譜データ(MusicXML形式)のインポート
MusicXML形式(*.xml)のファイルを指定してインポートしてください。尺八譜が自動生成され、表示されます。
五線譜の編集ソフトの多くはMusicXML形式での出力が可能です。私はもっぱらフリーソフトのMuseScoreを愛用しています。MuseScoreで楽譜を作成した場合は、MusicXMLフォーマット(*.xml)で保存してください。
楽譜データ(MusicXML形式)の再インポート
既に行ったレイアウト編集結果を維持したまま、楽譜データ(musicXML形式)をインポートします。編集中のスコアと再インポートするスコアは、小節数とパート数が同じでなければなりません。ShakuScoreでレイアウト編集中のスコアの元のmusicXMLファイルに変更を加えた場合、再インポートすることにより、既に行ったレイアウト編集結果を無駄にすることなく、編集を継続することができます。
ファイル(ShakuScore形式)のオープン、保存
ShakuScoreでは独自のShakuScore形式(*.sscx)を使用します。ファイルを操作するコマンドには[開く]、[保存]、[名前を付けて保存]、[閉じる]があります。
MuseScoreのプラグインから起動
MuseScoreのプラグインからShakuScoreをワンクリックで起動することができ、MuseScore上で開いているスコアをShakuScoreで開くことができます。
プラグインのインストール方法:ShakuScoreのインストールフォルダ内のmusescorepluginの中のOpenInShakuScore.jsをMuseScoreのpluginフォルダにコピーし、OpenInShakuScore.jsの以下の行をShakuScoreプログラムをインストールした場所を指すように変更してください(C://Program Files/に解凍したフォルダをコピーした場合は変更不要となります)。
// *** Please change the line below to point to ShakuScore program on your computer. ***
var ShakuScoreProg = “C://Program Files/ShakuScore/ShakuScore.exe”;
用紙サイズ、向き、ページのマージン
シート(用紙)のサイズ(A3/A4/B4/B5)と向きを設定します。
ページマージンは、楽譜の配置エリアの外側のページマージンを設定します。
横書き、縦書きの設定
五線譜のように左から右へ音符を並べる横書きと、上から下へ音符を並べる縦書きのいずれかを選択します。
楽譜の方向を変える操作は戻す(Undo)ことができません。[別名で保存]するか、置き換える(OK)かのどちらかを選択したください。
縦書きの場合、テキストは縦に回転して表示されます。
複数ページを連結する(複数ページの出力形式)
PDFに変換した楽譜をタブレットなどでスクロール表示する場合には、複数のページを連結して一枚のページにしたほうが便利なことがあります。PDFファイルやSVGファイルにエクスポートする場合、[複数ページの出力形式]で[個別]を選択しておくと、複数ページが別々に出力され、[連結]を選択しておくと複数ページを連結して単一のページに出力します。
一行当たりの小節数を変える
[小節数/行]では、一行当たりの小節数を[一定数]にするか、あるいは[自動]で決めるかを選択します。自動の場合は[小節のスケール(比率)]により、小節の幅を伸縮させる比率を指定できます。[最終行をページ幅に合わせる]をチェックすると、最終行をページ幅一杯に広げます。
行の高さと間隔を変える
[行の高さと間隔]では、行の高さと行と行の間隔を比率で指定します。[行をページ一杯に広げる]をチェックしておくと、行を間隔を自動的に広げて行がページ一杯に広がります。
パート毎の設定、パート名の変更
パート設定ダイアログでは、パート毎の設定を行います。まず、設定を行うパートを左側のパートリストから選択します。
[パート名]と[パート短縮名]を変更可能です。
楽譜のスタイル、フォント、フォントサイズの変更
[楽譜スタイル]では、楽譜のスタイルを選択します。{簡易琴古/簡易都山/山川式篠笛/簡易福原式篠笛}の中から選択します。(V1.0では簡易琴古のみサポート)
[フォント名]では、それぞれの楽譜のスタイルに用意されたフォントファイルから一つを選択します。
[フォントサイズ(比率)]では、パートのフォントの大きさを比率で指定します。パートの音符やテキスト、記号など全ての大きさが変わります。
楽器のキーの指定(移調)
[楽器のキー]で、楽器のキーを変更すると移調後の音名が表示されます。移調する幅は、1尺8寸管を基準にして半音刻みで指定します。
歌詞の設定
歌詞では、歌詞を[出力]するかどうかを指定できます。[フォントのプロパティ]でフォントを指定します。フォントのサイズは、[フォントサイズ(比率)]で指定してください。(フォントのプロパティでのサイズ指定は無視されます。)
小節の伸張、短縮
[小節の伸張、短縮]では、小節を選択して[小節を伸張]または[小節を短縮]することができます。1回のコマンド実行で数パーセントずつ伸張または短縮します。全ての小節を一律に伸張、短縮したい場合は、ページダイアログの[小節のスケール(比率)]で指定するのが便利です。
小節を選択するには、小節の上をクリックします。複数小節を選択するには、小節を一つ選択した後、別の小節をctlキーを押しながらクリックすると、2つの間の小節がすべて選択されます。
改行と改ページ
強制的に改行や改ページを行わせることができます。
改行または改ページを挿入するには小節を選択し、[改行を挿入]または[改ページを挿入]を実行します。改行マークとして水色の四角形、改ページマークとして赤色の四角形が表示されます。[削除]するには、この四角形を選択してから、[改行・改ページを削除]してください。
PDFファイルをエクスポート
[ファイルメニュー]>[エクスポート]>[PDF…]でPDF形式ファイルへのエクスポートが行えます。複数ページの出力形式も参照してください。エクスポートした後、PDFファイルを開きます。印刷はPDFファイルを開いたアプリケーションで行ってください。
SVGファイルをエクスポート
[ファイルメニュー]>[エクスポート]>[SVG…]でSVG形式ファイルへのエクスポートが行えます。複数ページの出力形式も参照してください。ページ数だけの個数のSVGファイルに出力されます。ファイル名は、”name_p001.svg”, “name_p002.svg”, …となります。
svgを編集できるソフトウェア(InkScape, Illustrator等)を使えば、様々な変更を自由に行えます。
パレット、ナビゲーター、ズーム
[パレット]は、左側にパレットを表示します。(現在、中身は空です。)
[ナビーゲーター]は、メインウィンドウの下側(または右側)に表示され、青い矩形領域をマウスでドラッグすることで、表示領域を移動することができます。メインウィンドウの楽譜をマウスでドラッグして移動することも可能です。
[ズーム操作]では、[縮小]、[拡大]、[ズームのリセット]が行えます。ctlキーを押しながらマウスのホイールを回すことでも拡大縮小表示ができます。
記号、テキストの移動
記号やテキストの多くは移動できます。マウスで選択しドラッグ&ドロップしてください。
移動可能なもの:尺八譜の甲乙、テキスト類、歌詞、ダイナミクス(p,pp,f,ff,mp,mfなど)、アーティキュレーション(スタッカート、アクセント、フェルマータなど)選択ができるものは移動ができます。
移動できないもの:スラー、タイ、クレシェンド、ディミュニエンド、コーダ、セーニョなど)
注意:楽譜の方向を変えたときは、移動データは削除され初期配置位置に配置されます。元に戻す、再実行の項も参照してください。
フォントの変更
ヘッダー領域に表示されるタイトル、サブタイトルなどのテキストはフォント変更ができます。右クリックして、表示される[フォントのプロパティ]をクリックするとフォントダイアログが表示されます。歌詞のフォント変更については歌詞の設定を参照してください。
音符名の変更(変え指の指定)
同一のピッチの音に対して、複数の異なる音名が存在する場合、音名を変更することができます。その音符を選択してから右クリックして[別の音符名を指定する]を選択すると音符名を変更のダイアログが表示されます。
元に戻す、再実行
ほとんどの編集コマンドは[元に戻](Undo)したり、[再実行](Redo)することができます。
例外は、[楽譜スタイル]の変更と[横書き]から[縦書き]へ、またはその逆の変更です。これらの操作では、テキストや記号の位置が初期設定値となり、元に戻すことができません。変更前のスコアデータを残しておきたい場合は、変更時に[別名で保存]を選択してください。
謝辞
MuseScoreで五線譜上にロツレチ譜を書き込むShakuhachi and Shinobueプラグインを数年来愛用しています。これを提供された立花さんに感謝します。
これだけでもとても実用的ですが、本格的な尺八譜を作れないものかと、ずっと考えていました。しかし技術的なハードルが高そうで、あきらめかけていたところ、RazvanさんがmusicXMLデータから都山譜を表示するShakuViewerを公開(2014年春頃)されて、これに大いに刺激を受けました(MuseScore用のプラグインはShakuViewerのものをそっくりまねさせていただきました)。
また、作り方のイメージが一気に湧いてきたので、自分で作ってみようと思い、設計と開発を開始して、ちょうど一年。この冬に集中的に開発を進め、なんとか使えそうなレベルに達したので、公開させていただきました。立花さんのShakuhachi and Shinobueプラグイン、RazvanさんのShakuViewerがなかったら、ShakuScoreの開発はなかったと思います。お二人にこの場をお借りして深謝いたします。
さらにMuseScoreの開発チームに感謝します。MuseScoreの機能とユーザインタフェースはすばらしく、ShakuScoreでもそれをモデルないし目標にしました。
また、ShakuScoreの開発環境として使用したQtの開発チームに感謝します。Qtは日本では知名度が低いようですが、高機能で使いやすく、マルチプラットフォーム対応で、無料ライセンスもあり、とてもお勧めしたい開発環境です。Qtよ、ありがとう。
2015年2月14日
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